ヤンソンさんの言葉

「恐怖は、安全をきわだたせるためのすてきな背景」

「安全に意味と存在感を与える」

トーベ・ヤンソンさんが、国際アンデルセン賞を受賞した時のスピーチの言葉です。『ムーミン画集 ふたつの家族』の中に収蔵されています。
この言葉を聞くと、悲しみや不安、あらゆる困難やネガティブな側面もまた、人生における喜びや幸福をきわだたせ、それらの実感を強くさせるもの、とも言えるように思えて、勇気づけられます。
「作家たちは、自分の何らかのもののために書いている。」 中でも、この彼女の言葉が一番心にひびきます。
自分の何らかのもののために、創作するとはどういうことか。
「自分のためじゃなくて、目の前の子供のために描くものだと思います」といった編集者がある時いました。そういいきる気持ちに信念がこもっているのは伝わりました。そして、信念はひとそれぞれで、それぞれの的をついた真実もやっぱりあると思います。
けれど、自分の何らかのために描くことを認めないのは、どうしてでしょうか。ひとりよがりの範囲を越えない絵本作家志望が多くてみていられない、とでもいいたげな人や空気はありますが、だから自分のために描いちゃだめ、とまでいいそうな人には疑問符です。
方向は正しい、けだし道のりが長い。そういうことだと私は考えます。
徒歩では一生かけても世界一周はまず無理でしょう、けど、先人たちの感覚やいろんなものから学んでいくことで、徒歩から小舟に乗りかえられ、小舟から大海をわたる船の舵をとりだすこともできるものだと、私は信じています。
自分自身が満たされている時には、人は本当に前向きなパワーを展開することができる。そのことの内実をあなどってはいけないし、ちょっとやって何にもないから違うんだよと早足で通り過ぎるべきじゃない、と私は思います。
自分のために(あるいは大切な人のために)何かをしんしに出した時には、それは自分にその思いが湧き上がってきたと同じように、人にも伝わるもの。それができる作品は、本当にちからのあるものになっているはずです。
だから、自分の何らかのもののために書いている、といったヤンソンさんの言葉を、私はすごく信じるし、世界中の、フィンランドという北国には住んだこともない人々が、これだけ魅了されているという事実が、この言葉のもつ内実のなんたるかを照明しています。国際アンデルセン賞を受賞した作家がそういってくれたことを、ここでしずかにがんばる私は、ほんとうに心強く思います。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中