ヴェリコノツェ(復活祭)はおしりぺんぺんの巻

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イースターは、とてもおおきなお祝いです。

キリストの道のりを一週間かけて再現するおまつり。

ロバに乗ったキリストのエルサレム入城を祝う花の日曜日からはじまり、灰の水曜日、緑の木曜日(最後の晩餐)、聖大金曜日(十字架上の受難の日)、聖土曜日(キリスト埋葬)、そして聖日曜日(復活の日)、という流れ。

これに続いて赤い月曜日。チェコではこの日がおしりぺんぺん、水ばさっの日です。

ちなみに2月にはカーニヴァル祭がありますが、マソプストと呼ばれるこの習慣は、つまり肉(マソ)の断食(プスト)がはじまる時。この日からイースター祭まで肉を断つのが正式な習わしで、キリストの復活の日まで信者たちは質素な食生活をすごし、キリストの道のりを思い至るわけなのでして、なんて敬虔な姿勢でしょうか。ここまでは、キリスト教に基づいた理解が可能であり、興味ぶかいなぁと余裕をもっておられるのです。…が、これに続いて、赤い月曜日がやってきます。

赤い月曜日とはなんぞや。柳の枝であんだリボンをつけたカラフルなムチで、スラヴの女子たちは尻を叩かれ、水をかけられ、いつまでも健康で若くいてねと願いをこめた仕打ちをうける日なのです。(んなばかな。)さらには、ムチ打ってくれた殿方たちに着色した卵やお菓子やチョコレートを、感謝のしるしに渡します。

その昔、サイレジア地方のチェコの家族にお世話になっていた頃、一年目のイースターの月曜日にお尻を叩かれたあと、バスタブの前に連れて行かれました。これから水をはるからそこに入るんだよ、チェコでは女性はみなそうしなくちゃいけないのさ、とホラ吹き男に言われたことがありました。伝統をまじめに体験&学習したい私は、(家族がチェコのしきたりを伝えだがってくれているのだ、と真面目に思い、)「それって真水?お湯でもいいの?」とききかえし、入水覚悟をきめたのでした。そしてみんなにひとしきり笑われたあと、親族がやってきて教えてくれました。「ははは、今ではもう水をかけたりしないよ。バスタブだって、がはははは。」そう笑いながら、持参の香水を頭皮に直接、プシュプシュくれたのでした。”いつまでも健康で若くいられるよう”、二種類のちがう匂いのプシュプシュを…。 美しい枝ならぬ黒髪が、これから健康に生えてくるはずであった私の頭皮が、悲鳴をあげたのは言うまでもありません。

理解不能な展開、というのは、わたしにとってチェコの典型です。もちろんその習慣が生まれてきた背景や歴史をたどれば、単なる不可解にはとどまらないでしょうけれど、今日も皆が繰り返すこの理不尽な行事は、やっぱり不可解で、そしてやっぱり愉快です。いたずらなのりから発生したわけではまさかなかったと思いますが、物事をひっくりかえすトリックスターのようなのりが、この国の人たちは好きな気がします。(チェコのコメディ映画をご覧あれ。)普段、肝のすわった女性たちの尻に、実はしかれた男性陣が、けらけらと笑いながらこの習慣を、とまどう外国人に嬉しそうに話すイメージもある、チェコのヴェリコノツェです。

2017.4.18

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